優しいとこも、笑った顔も、大人っぽいとこも
みんな、好きだって。
「…やべっ、道間違った。」
…ちょっと天然なとこも、ね。
それから、10分後。
暁くんが器用に車を駐車場に入れるのを眺め、連れてこられたのはオシャレなレストランだった。
どうやら、晩御飯を食べるつもりらしい。
このパターンだと、またご馳走になってしまう気がする…。
「なんでも好きなもの選んでいいからね。」
ウェイターさんに手渡されたメニューを眺めていると、何故か暁くんは嬉しそうに笑った。
「ここはパスタがすごく美味しいんだよ。」
暁くんはそう言ったけど、これ以上お金を遣ってもらうのは…、と思い、一番安いのを選ぶことにした。
しかし。
「値段は気にしないでいいからね。」
う…。
先手を打たれてしまい、あたしは困って視線を泳がせた。
だって!暁くんといると、みんなおごってもらってる!
水族館の入場料だってイルカだって!
この前は喫茶店でもご馳走になってしまったし。
ここは遠慮しちゃ、ダメ…かな。
いちおうお金は持ってるし…。

