【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐





「じゃあ、出よっか。」



という暁くんの言葉に頷くと、暁くんもにっこりと笑った。





「じゃあこれ大きいし、車まで預かるよ。」






そう言って暁くんは、あたしから優しくイルカを取り去った。





あわわっ、それはさすがに暁くんに悪いよっ!





買ってもらった上に持ってもらうなんて!





あたしは慌てて暁くんの服の裾を軽く引っ張り、首を左右に振った。





「ん、どうかした?」





優しく笑う暁くんの右手を取り、文字を綴ろうとした時だった。





「―――っ!?」





暁くんの右手が、くるりと巧みに動き、あたしの左手を捉えた。





そのまま優しく指が絡み合い、恋人繋ぎの状態になる。





「柚はすぐ遠慮するんだね。気にしなくてもいいのに。俺が手を繋ぎたいだけなんだから。」






…っ!!





ヤバイ。






きっと今、すごく顔が真っ赤だ。





だって、暁くんの笑顔があまりに綺麗で、優しくて、男らしくて。





かっこよすぎて。






頭が、パンクしちゃいそうだ…。