【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐






“本当に、もらっちゃってもいいの?”




ボードに書き込んだ文字を見て、暁くんは嬉しそうに微笑んだ。





「もちろん。むしろそうしてくれた方が俺は助かるし。」





…わぁ、どうしよ。




ホントに、いいのかな…。






遠慮をしつつも、暁くんに手渡されたぬいぐるみを抱えると、仕舞いきれない嬉しさがあふれでてきてしまう。





自然と頬が緩み、明らかに大喜びしてしまっている。





「よかった。」





そんなあたしを見てか、暁くんはそう小さく呟くと、ぽんぽんとあたしの頭に手を乗せて柔らかく撫でた。





その時の暁くんの表情が、ひどく優しいもので。




あたしの頬は、たったそれだけのことで熱く上気した。





恥ずかしかったけど、それ以上に嬉しさとありがとうを伝えたくて、暁くんを真っ直ぐ見上げて出来る限り微笑んだ。





なんだか照れ臭くって、上手く笑えてない気がするけど…。