【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐






そんな偶然が、あってもいいの??





「あー、んでこの子が例の女子高生の…」





そこにいた、みんなの視線があたしに向けられた。





「…えっ?」





優兄も初めてあたしに気がついたらしく、大きく目を見開いている。






「此花柚姫ちゃんって言って…、優輔どした?」






あたしを見つめて固まっている優兄に気づいた暁くんは、不思議そうに優兄を覗き込んだ。





「柚姫ちゃんも、どうかしたの?」






暁くんも、完全にフリーズしたあたしに心配そうに声をかけてくれた。






あたしは、その掛け声でようやく我に返る。





「…――――っ」






そっと顔をあげると暁くんや愁生さん、李織さん、そして優兄と視線がかち合う。






「…やっぱお前、柚…だよな?」






優兄も、驚きを隠せない様子だった。






「えっ、何?優輔、柚姫ちゃんと知り合いだったの?」





状況が飲み込めないらしい暁くんが、優兄に尋ね、優兄はそれに静かな口調で答えた。





「知ってるも何も、幼なじみだよ。」