【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐





どうやらもう一人来るはずの、優輔さんという人をみんなは待っているらしい。




消去法から考えて、バンドには必要不可欠なドラム担当の人だと思う。





「でも、マジでなにやってんの優す…」





そのときだった。




バーン!




あの重たい扉が勢いよく開き、その直後、よく通る明るい声がお店の中を突き抜けた。







「ごめんっ!遅れたぁっ!!」






どうやら、優輔さんが来たらしい。





ん、でも…




この声どこかで…







「お、優輔!なにやってたんだよ。みんな集まってるぞ。」





愁生さんが優輔さんの方を振り返ると、その人もゆっくり階段を降りてきた。



しかし、階段の付近は光が当たらなくて薄暗い。



顔まではよく見えなかった。






「んー、メールさっき見てさ。寝てたんだよね。昨日遅くまでレポート書いてて…」






薄暗くてよく見えなかった優輔さんの顔が、照明の光でようやく見えたとき、あたしは驚愕した。






「―――――!」







う、そ………







「はぁ?寝てたって?マジかよ…」





「ほらね。俺の言った通りでしょ。」









……………まさか、…優兄…??