【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐





「んで優輔は?」




「まだ来てないけど。」




ね、オーナー?と暁くんは原田さんを振り返る。




「ああ。道に迷ってんじゃないの?」





「んなわけないでしょ。」





原田さんのボケに、今度は愁生さんが突っ込んだ。




「…寝てるとか。」





そして今度は、李織さんがまた眠そうにしつつ口を開いた。





「それはお前だろ。」





「俺は別に眠たいわけじゃないよ。」





「嘘つけ。いつも欠伸してんのは誰だよ。」






「眠くないけど欠伸が出るんだ。ちゃんと毎日13時間は寝てるよ…。」





そう言いながらも、また大きな口で欠伸をする李織さん。





…それは寝過ぎなのでは。



と思ったのは、あたしだけでしょうか。






「お前、いつ練習してんだよ。」




「何の。」





「キーボードの練習だよ。」






「…………さぁ。」







…なんだか、不思議な人だな。





あたしと他三人は、そろって苦笑した。