「だぁーっ!!てめぇら人をバカにしやがってっ!!なんだよRain読めねぇのが悪いかぁっ!!もう読めるわーーーーーっ!!!」
…それだけ言うと、止める間もなく優兄はリコールを飛び出した。
「あっははっ、マジで拗ねた。ガキかあいつ」
「ちょっと苛めすぎたかな。明日、なんか食べ物でつろうか」
「そうだなー。じゃあ、夕飯適当に奢るか、仕方ない」
愁生さんと暁くんがそんな作戦をたて始め、ちょっと優兄が可哀想だった。
うん、あたしもあとでちゃんと謝ろう。
ちなみに、あとで聞いた話。
夕飯を奢ってもらった優兄は上機嫌で、あの出来事はきれいさっぱり水に流したらしい。
ちょろすぎだよ、優兄…。
そして、その数ヵ月後…。
かつて以上の歌声を取り戻すことの出来たあたしは、Rainのボーカリストになるのだけど、それはまだ先のお話…。
アキちゃんのベースを手に、ステージに立つ日は近い。
あたしの夢は、これからもずっと輝き続ける。
ここにいる、みんなと。
けれどそんなあたしたちの活躍は、また別の物語。
ここまでは、あたしたちのハジマリに過ぎないのだから。
そう、ハジマリに過ぎない。
あたしたちの夢は、これから。
待っててね、アキちゃん。
fin.