「あれは笑ったなー。大学生にもなって、あれはない。」
くつくつと笑う暁くんに、優兄は顔を真っ赤にして怒った。
「仕方ないだろ!英語はマジで苦手なんだよっ!!推薦で入ったから入試はなかったし…」
「だからって、今どき小学生でもわかるぞ?」
今度は笑いながら愁生さんが言い、優兄は子供みたいに拗ねてそっぽを向く。
「どーせ俺は小学生以下だよ。くっそ、他の教科なら負けねぇのに…。」
そんな優兄を見て、二人は心底可笑しそうに爆笑し始める。
唯一あたしだけ話が見えていなくて、二人が落ち着くの待った。
「それで、どういう意味なの?」
ちょっといじけた言い方になってしまったのは、あたし抜きで話をされてしまったからかもしれない。
「ごめんごめん。あのね、全員が集まっていざ結成!っていう時なんだけどね…」
目に涙を浮かべながら、暁くんはその時の話をしてくれた。
「その日は、ひどい雨の日でね。ゲリラ豪雨だったかな。まぁ、前が見えないようなすごい雨で。それで、Rain。」
え、なにそれ…。
Rainは、日本語で雨という意味。
ホントに、雨だったからRain?
「適当だろ?大した意味ないんだよね、残念ながら」
愁生さんが、苦笑いでそう付け足した。
「で、それを言い出したのが優輔なんだよ。笑っちゃうのが、『今日はひどい雨だし、ラインとかでいいじゃん』って言ったんだ」
ライン…。
あぁー…、まさか…。
あたしの中で、ある仮定ができた。
「まぁ気付いたと思うけど、Rainをローマ字読みしたんだよ。」
やっぱり…。
思わず、ぷっと吹き出すとその本人はついに爆発した。