とっさに目を逸らすと、視界の外で暁くんがくすりと笑った。
「…それとももしかして、俺に見とれてた、とか?」
「っ…」
図星で、顔に一気に熱が広がった。
「ち、違うよ…?」
きっと耳まで真っ赤になったかもしれない。
それでも、なんとか誤魔化してみる。
「そっか。可愛いね、柚。」
可笑しそうに笑った暁くんには、見抜かれてしまっていたみたいだけれど。
「はいはい、そこらへんにしとけ。続きは二人きりのときにでもやってくれ。」
そんな時、助け船を出してくれたのは、原田さんだった。
ホッとするあたしとは対称的に、暁くんは不満そう。
「まったく、可愛い可愛い連発して。見ているこっちが恥ずかしくなってくるな。」
「だって、ホントに可愛いんだから仕方ないじゃないですか。可愛すぎて見ていて飽きないし、目が離せない。」
さらりと言ってのけた暁くん。
落ち着くかと思った顔の熱は、再加熱した。
「あーあ、こりゃダメだな。」
諦めたらしい原田さんは、呆れ顔でカウンターへと戻っていった。
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「…え?名前の由来?」
それからしばらくして、暁くんの甘い台詞攻撃が落ち着いてから、あたしは一番気になっていたことを尋ねた。
「そうだなぁ、なんだっけ?」
「おいおい、忘れたのか?」
愁生さんと優兄は呆れた様子で顔を見合わせた。
「あれは優輔のバカ発言が始まりだったよな」
「バカとか言うんじゃねーよ。あのときは…あれだよ、ちょっと眠かったから…」
「嘘つけ。マジで間違えてただろ。」
「んなことねぇーって。」
二人の言い合いを見ていた暁くんは、ああ!と声をあげた。
「思い出した、思い出した!ラインだ」
ライン?