「あれ、いたんだ?ごめん、気付かなかったよ」
わざとらしく、暁くんが言った。
「よく言うよ、まったく」
それに対し、愁生さんがやれやれと肩をすくませてみせる。
「それで、みんなでなんの話をしてたの?」
あたしの隣に座った暁くんは、あたしの髪を梳きながらゆっくりと尋ねた。
「え、えっと…、みんなにRainの話を聞いてたの」
「ふぅん、そうなんだ」
暁くんはどこか楽しそうに、ふわりと目を細めた。
ヴァイオレットの瞳に捕らえられて、目が離せなくなりそうになるのを必死にこらえる。
…暁くんはもう、色を隠すことをしなくなった。
そうしたのは最近からで、どういう心境の変化なのかはわからない。
けれど、たぶん…。
「そう言えばまだ話したことなかったね。」
「う、うん」
「なら、聞きたいことを聞いて。好きなだけ、教えてあげるよ」
暁くんは気付いているのだろうか。
その紫の瞳が、どれだけあたしを惹きつけて止まないのか。
そんな瞳でふわりと微笑んで見つめられるだけで、どれほどあたしがドキドキしているのか。
「…柚?」
いつの間にか、ぼんやりとヴァイオレットの瞳に見いっていたらしい。
返事をしないあたしを、心配そうに暁くんが覗き込んだ。
「え、あっごめん!なに?」
「Rainの話。聞きたいことはある?って」
「あ、うん。そうだったよね、ごめんなさい…。」
「…ぼんやりしてる柚も可愛いけど、心配だな。なにか悩みごとでも?俺でよければ、聞くよ?」
「ちっ、違うの。ちょっと、ぼんやりしちゃっただけで、別に悩みなんて…。」
…言えない。
暁くんに見とれてたなんて、恥ずかしくて言えない…!!

