【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐







「あいつはわかりにくいからな。けど…、」





ふっ、と目を細めた原田さんはニヤリと笑う。





「あいつは誰よりも、Rainを大切に思ってるよ。そこでキーボードをやれることを、なにより嬉しく感じてる」





李織さん…。





「形は違っても、あいつの夢は輝き続けてる。だからなんだかんだ言いつつ、アイツもアキに救われて、感謝してるんだよ」




ホントに、あたしと似てる…。




「アキも、自分の方がよっぽど辛い目にあってたのに、よく人の為に一生懸命になれるよな。ホントに、不思議だわ。」






「…暁くんは、そういう人ですよ。だからきっと、みんな暁くんが好きなんです」






暁くんは、ずっと変わってないんだね。





あたしに、まっすぐぶつかってきてくれた暁くんと、何も違わない。






「そろそろ、みんな戻ってくると思うぞ?」




「そうですね。」





「もっと聞きたかったらあいつらに聞いてごらん。いろいろ面白い話とか出てくるぞ、きっと。」




「そうしてみます」





あたしと原田さんは、顔を見合わせてクスクスと笑った。