その日のお昼は、初めてみんなとのおしゃべりにあたしも参加した。




みんなの話を聞いて、話して、笑って、笑って。






みんなでするお喋りが、いつも以上に楽しかった。




すごく、楽しかった。






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その日学校を終えて、1人帰路につく。




リコールには、暁くんがイギリスから戻ったとき一緒に行って、みんなを驚かせようということになった。




その時が楽しみで仕方ない。





みんなの驚く顔を想像してクスッと笑みをこぼす。






だから暁くん、早く帰って来てね。




あたしも、みんなも、首を長くして待ってるよ。







マンションのある通りに入った時、マンションの前にいる人影が見え、目を凝らした。





まさか、あれは…。







「…暁くん?」




あたしが声をかけると、それまで壁に寄りかかって俯いていた暁くんは顔をあげてふわりと微笑んだ。





「柚、おかえり」





いつもとなんら変わらない、暁くんがそこにいた。





「…ただいま。暁くんも、おかえりなさい」




「うん、ただいま」





暁くんはブラウンの瞳を細めて、眩しいくらいに笑った。




暁くんの笑顔が戻ってきてくれたことに嬉し涙が出そうになって、あたしは泣いているのを隠そうと暁くんの胸に飛び込んだ。




温かくて、ちょっと速い心臓の音があたしを落ち着けてくれる。




「柚…」




暁くんはあたしを、壊れ物を扱うかのように優しく包み込んでくれた。