胸がすごくドキドキした。




いつもと違う朝に、どうしたらいいのかわからない。




あの事故があってから初めての学校に、あたしはひどく緊張していた。




3年ぶりだもんね、仕方ない…。




きっといつもと同じようにしたら、自然と出来るよね…?




深く深呼吸してから、教室に踏み入った。





「…あっ柚おはよー!!昨日どうして学校来な…柚?」




早速いつものように声をかけてきた優輝ちゃんにドギマギしていると、優輝ちゃんはあたしの顔を不思議そうに覗き込んだ。



「どうかした?具合でも悪いの?」




…優輝ちゃんは、いつもそうやって優しかったよね。



大丈夫、いつものように。



優輝ちゃんだもん、きっと…。





「…大丈夫、何でもないよ」




「え…?」




「おはよう、優輝ちゃん」




にこっと微笑んで見せると、優輝ちゃんは固まった表情のままあたしを見つめ返した。




「あたしね、声が出るようになったの」




「嘘…」




ポツ…、と優輝ちゃんの目から涙が零れ落ちた。




「優輝ちゃん、あたしずっと言いたかった。あたしと友達になってくれて、いつも一緒にいてくれて、ありがとう。」




「そ、そんなの…」




途端に顔を歪めた優輝ちゃんの目から、ボロッと涙が溢れ出てきた。




「優輝ちゃん…」




「そんなの…あたしこそ、ありがとうだよぉ…っ!ゆずっ…、ううっ…よかった、よかったよぉー!!」





ぎゅっとあたしに抱きついて涙を流してくれた優輝ちゃんを、今度はあたしが抱き締めた。




強く、強く。