「掃除はもういいから、座ろう?」





そう言って、暁くんはあたしの持つモップに触れた。




けどあたしは、さらにギュッとモップを持つ手に力を入れて首を左右に振った。






「柚姫ちゃん?」





あたしの行動にきょとんとする暁くん。





あたしはポケットからケータイを取り出すと、メール機能を使ってそれに答える。






真っ白い画面には、


“やるからには、最後までやらなきゃ。”





と打ち込んだ。







「…そっか。わかったよ」





ふっ、と笑みをこぼした暁くんはモップから離した手であたしの頬を一撫ですると、柔らかい視線であたしを見つめた。






その視線が堪らなく優しげでかっこよくて。






恥ずかしくなったあたしは、熱くなった顔を下に向けた。