8位…?
あたしが?何に?
「あらら、混乱してない?」
「柚は鈍チンだから。これは狼から守らなきゃね」
意味がわからないあたしを見兼ねてか、真波ちゃんがわかりやすく説明してくれた。
毎年実施される、校内美男美女コンテスト。
あらかじめ投票が行われていて、それを集計して校内で人気の男女上位10人を発表するのだとか。
ちなみに表彰されるのはそれぞれ上位二人までで、四人には賞品が贈られるのだとか。
今年は学食の無料券で、だから優輝ちゃんは悔しがっていたみたいだ。
…で、あたしがそれに?
嘘でしょ?
「二人は賞品もらえないけど、名前が上がるとものすごくモテるよ」
モテ…
どう反応していいかわからず、とりあえず苦笑いでやり過ごした。
その後、四人が“狼から柚を守り隊”なるものを結成したのを、あたしは知るよしもない。
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学校祭は、夜空に大輪の花を咲かせたのを最後に幕を閉じた。
家に着いたのは、すっかり遅い時間で。
優輝ちゃんがしてくれた厚化粧を落とすのに苦戦しつつも、なんとか日付を越えることなくベッドにダイブ出来た。
…疲れた。
明日は休みだし、ゆっくりしていようと決め、ごろりと寝返りを打つ。
その時腕に触れたのは、あのぬいぐるみ。
『ワラッテ、ワラッテ、』
…うん。もう、笑ってるよ。
ありがとう。
ゆっくりと、まぶたを閉じた。

