きっと今、ひどい顔をして泣いていて。
鼻水が出そうになって、鼻をすすり、嗚咽を堪え、すごくみっともないことになっている。
もう、やだ…。
なんでこんなに…。
冷たい石段に膝を抱えて座り込んで、こっそり泣いた。
押し殺しながら、それでも涙は止まらなくて。
暁くんと一緒にいたせいで弱くなった自分が、嫌になる。
暁くんの、バカ…。
どれくらいそうしていただろうか。
ふと、隣に誰かが座った気配がした。
泣き顔を晒したくなくて顔は上げなかったけれど、なんとなく誰だかわかった。
「…どうしたの?」
静かに首を振ると、そっと壊れ物を包むかのように抱き締められた。
温かかった。
「…大丈夫、気が済むまで泣いていいよ。待ってるから」
優しい声に、とうとう止まらなくなったあたしは、日が暮れるまで泣き続けた。
言葉どおり、彼女は何も言わず、あたしが泣き止むまで抱き締めていてくれていた。
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優輝ちゃんは、いつまでたっても来なかったあたしを心配して探しに来てくれたらしい。
コンテストの発表を、放置して。
優輝ちゃんなら、入賞間違いなしだと思っていただけに、すごく申し訳なくなった。
暗かったけど、綺麗にセットされていた優輝ちゃんの髪は乱れていて、かなり探させてしまったのだと、また申し訳なくなる。
「ちょっと顔洗ってから、行こう。そろそろ花火やってるから」
優輝ちゃんは、何も聞かずにあたしを励まそうとしてくれて。
そんな気分じゃない、と断ろうとしたあたしを、有無を言わさず引っ張っていった。

