車道を渡ろうにも、車が来ていて渡ることは出来ない。




嘘、そんな…行かないで…!!




「――――っ!」





どんなに声を絞り出しても、それは空気の塊でしかなかった。



けれど、ほんの一瞬。




暁くんがこっちを見てくれたような気がした。




でも暁くんは、なんの迷いもなく車に乗り込んで行ってしまった。




車が角を曲がって見えなくなった時、あたしの頬に一筋の涙が伝った。






―――さようなら、暁くん。






あたしは一人、静かに文化祭の為に学校へ向かった。