あたしの予想どおり、片付けは簡単な整理だけで終わった。
あとは着替えて帰るだけで、急いで着替えてから忘れずにもらったぬいぐるみを抱えて教室を出たときだった。
ヴヴヴヴヴヴ…
あ、メール?
開いてみるとそれは、暁くんからのメールだった。
“近くの公園で待ってるよ”
その公園というのは、学校の近くにあって登下校の際にはいつも通る場所にある。
なんでだろう、というところまであたしの意識は回らなかった。
簡潔に返信をしたのみで、あたしは駆け足で学校を出た。
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「…ふざけるな!」
例の公園に踏み入った途端、大きな怒鳴り声がした。
…暁くんの声だった。
「(どういうつもりだ、エド!)」
エド?
今度は英語で、なんと言っているのかよくわからなかったけれど、確かにエドと言ったような気がする。
あたしが知るなかで、エドという人物は一人しかいない。
暁くんと似た顔で、金髪にグレイブルーの瞳をした暁くんのお兄さん、
エドガー・オルドリッジさん。
「(…あの人は、なんと。)」
暁くんは電話で話をしているらしく、あたしには気付いていない。
あたしも出るタイミングを逃していて、じっと待っているしか出来なかった。
「(…もういい、わかった。叔父さんには、あとで俺から電話する。)」
そこで暁くんは、静かにケータイを閉じた。
そしてゆっくりと重苦しく、一つため息をつく。
暁くん…?

