【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐





「柚、どうして怒ってるの?」



怒ってないもん。



あれから二人で校内を回っているのだけど、なんだかギスギスしていた。



主な原因はあたしだけれど。





「ヤキモチ」



「…っ」



「妬いてくれてるの?」




あたしに視線を向けている暁くんは、どこか嬉しそうだった。


否定も肯定もできず、顔をそらすとクスクスと小さく笑う暁くん。




「怒っててもかわいいね、柚。」




…どうしてこの人はこう、恥ずかしいことをさらっと言っちゃうかな。




「安心して、俺には柚しか見えないよ。」




もっと恥ずかしいことを言われた!



なんだか今日の暁くんは妙に機嫌がいい。



いつもよりさらに饒舌で、平気で甘い言葉を囁く。




「何か食べる?お腹すいてない?」




暁くん、せっかく楽しそうにしてくれてるんだし、いつまでもいじけててもしょうがないよね。




今日は楽しもう。




あたしたちはまず、あたしの希望でたこ焼きを食べた。



それから、お好み焼き食べて、肉まん食べて。




お腹一杯になったところで、二人でお化け屋敷に入った。



お化け役の人や係りの人が、あたしたちが一切悲鳴を上げなかったのを不思議そうにしてて、ちょっと可笑しかった。



ちなみにあたしはびびりまくって、涙目になりながら暁くんの腕にしがみつき、暁くんはそれを楽しそうに見ていた。




あとは迷路に入ったり、なぞなぞもあった。