【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐





そんなことより、暁くんに迷惑かけちゃった。



何かお詫びしたいけど、どうしよう。





と、あれこれ考えていたときだった。




「…クスッ」




え…




「ああ、残念。キスでもしてくれるのかと思って頑張って寝たふりしてたのに、つい笑っちゃった」




キス!?



ってか寝たふり!!?




いつから!?




ぱっちりと目を開けた暁くんに、可笑しそうに言われて一気に顔が熱くなった。




「ごめんね、毛布探してる辺りから起きてた。それで、一体何をそんなに悩んでたの?」




イタズラっぽく笑われ、さらに熱が広がる。




そんな状態で、もたつく手で必死に誤解を解こうとペンを走らせた。





“迷惑かけちゃったから、何かお詫びしようと思って”




素直に白状すると、暁くんはいつもの優しい微笑みではなく蠱惑的に笑んだ。




「お詫び?なんだか、そそられる響きだね。ついついイケナイことをお願いしかねないな。」




イケナイこ…っ!?




あたしの顔が、まるで沸騰したかのようにこれまでないほど熱を帯びた。



まさか暁くんがそんなことを言うとは思っておらず、わたわたと慌てていると、堪えきれないといった風に暁くんが吹き出した。




「ごめん冗談。柚が可愛いから、からかってみたくなった。」


今度はまた、違う理由で赤面。




ホントに、暁くんはもう…。