【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐





バニラ味のソフトクリームを買ってもらって、ベンチに座って一緒に食べた。



ここのソフトクリームは美味しくて有名らしく、色んな人が来て食べていた。



実際、まろやかクリーミーなバニラはすごく美味しかった。




「美味しい?」




夢中でソフトクリームを食べながら大きく頷いたあたしを見て、またふわりと微笑む。



でもそのすぐあとあたしから顔を反らした暁くんの表情は、なんだかとても…寂しそうだった。



その表情に、すごく嫌な予感を覚えた。




まさかその予感が、もうそこまで迫っていたなんて、思いも寄らずに…。









ソフトクリームを食べ終え、今度はペンギンを見に行ったあたしたち。




上から陸のペンギンや泳いでる姿を見たり、ガラス越しに水の中のペンギンを見れたりしてすごく面白かった。




間近で見るペンギンはやっぱり可愛いなぁ…。




その時ふいに視線を感じて顔を上げると、また暁くんがあたしをじっと見つめていて、頬が熱くなる。




恥ずかしくって思わず目を反らすと、


「反らさないでよ」


と苦々しく笑った。




「君の姿を1分1秒、克明に記憶しておきたいんだ。」




え…っ




再び嫌な予感が胸をよぎるけれど、暁くんに「次に行こうか」といつものように微笑まれ、何も聞くことは出来なかった。