拒否してしまって、暁くんが離れていってしまう方が嫌だったから。





この時あたしは、もう開き直っていた。





例え、誰になんと罵られようと自分の気持ちに蓋をすることなんてできないと。





もう想いを押し殺すには、それはあたしの中で膨らみすぎていた。







バンドのこと



大切な親友のこと



…あたしのせいで起こってしまった事故のこと



アキちゃんのお母さんや、みんなにたくさん責められたこと



罪の意識から、失声症を患ったこと



両親には、見捨てられたこと



歌を、夢を、居場所を捨てたこと






一つ一つゆっくり説明していたのに、暁くんは黙って待っていてくれた。




それでも途中、やっぱりどうしても身体が震えてしまって。




そんな時暁くんは、あたしの肩に回した腕にぎゅっと力を入れて抱き締めてくれた。





それから、大丈夫?って何度も聞いてくれて。




そのたびにあたしは首を振って話を続けた。





こうして一つ一つ話をしていくのは初めてのことだった。





あれからあんなに時間がたったんだなとか、色々あったなって改めて思い知った。








「…そうだったの。」





すべてを話し終え、携帯を閉じたあたしの隣で暁くんは耐えかねたように息をついた。





やっぱり、重すぎたよね。






信じるとは言ったものの、どうしても不安になってしまう。






脳裏に浮かぶあの言葉が、暁くんの口からあたしに向けられてしまったら…。





そうしたら、今度こそあたしは立ち直れない。