でも、何か引っ掛かってる。
何か、辛くて悲しい夢を見てた気がする。
すごく、悲しい夢を…。
「そうだ、柚?」
「えっ、あ…何?」
「詞、出来たんでしょ?見せてよ。」
詞…?
「ああ、これね。」
すぐに思い出して、鞄から1枚の紙を取り出す。
そうだ、昨晩は徹夜して考えた新曲の歌詞だ。
「…へぇ、いいんじゃない?あたしこの歌詞好きよ?」
「ほんとっ?よかったぁ」
あれ?なんかこの会話、知ってる…。
こういうの、なんて言うんだっけ?
…そうだ、確かデジャヴって。
「ねぇ、アキちゃん。…アキちゃん?」
さっきまで隣にいたアキちゃんがいない。
「アキちゃん、ねぇ…?アキちゃ…―――」
キキーーーッ
ドォォン!!
え…?
大きな音のした方を、恐る恐る振り返る。
潰れたトラック、焦げ臭い匂い、赤黒く濡れる道路…。
い、いや…、嘘……
「………っ!!」
悲鳴をあげたくても、声がでない。
掠れた、息の固まりだけが喉から押し出される。
いやだ、やめて…
見たくなくても目から離れない、親友の変わり果てた姿…。
そうだ。
あたしが、アキちゃんを殺したんだ。
夏だと言うのに、全身が氷みたいに冷たくなって、ガタガタと体が震えた。
あたしが…あたしが…
―――このっ、人殺し!!
―――人殺しのクセに…っ
いや、やめて…

