【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐






そうと決まれば、みんなと暁くん抜きで相談しなくちゃいけない。




どうやって暁くんのいないところで相談しよう?




暁くんだけを置いてどこかへ行くのは難しいし…。




かと言って、暁くんの目を盗んで誰かに頼むのも難しい気がする。




うっかり後ろに立たれて、何してるの?なんて展開だけは避けたい。






……いや、暁くんに外に行ってもらえばいいんじゃ…?




しばらく戻って来ないような、そんな口実で。





思い付く口実は、頭の中に一つしか浮かばなかった。




いや、でも…言いにくい。





でもバカなあたしの頭じゃ、それくらいしか思い付かない。






でも、もうこれしかない!





開き直ったあたしは、携帯を取り出して思い付く限り自然な文章を打つ。





うん、完璧。




あとは、自然にこれを暁くんに見せればいい。





「…ん?どうしたの?」




袖を引いて、彼の目の前にケータイを差し出す。



そう、自然に、ナチュラルに。



「…ごめん、柚。読みにくい。」




ハッと顔を上げると、暁くんの顔に近すぎる位置にケータイがあった。




あたし何やってるの!

自然じゃないじゃない!!




慌てて一歩下がろうとした時。



きゅっ、と暁くんにケータイを持つ手を優しく握られ、固定される。




ひゃぁぁぁ…!





暁くんは、ゆっくりと顔を離してからケータイの文字に目を走らせた。




ちょ、手!



手じゃなくて、ケータイ持って!