【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐







沙夜ちゃんが日本に来て、ちょうど一週間目の日のことだった。




その日は愁生さんと優兄がいなくて、あたしと暁くんと沙夜ちゃんと李織さんしかいなかった。




なんでも、優兄が提出しなきゃいけないレポートがあって、それを愁生さんが一緒に残って手伝っているとかで。





だから今日はRainの活動はなく、それでも集まってしまうのは習慣なんだとか。





「ユズ、つまんないデスネ。」



あたしの隣で沙夜ちゃんは、綺麗な髪を弄びながら口を尖らせた。




確かに、と思う。





暁くんは曲作りに専念してるし、李織さんは気持ち良さそうにお昼寝中。




唯一原田さんは、いつものように紅茶を淹れてまったりしてるけど。




あれから、あたしと沙夜ちゃんはすごく仲良くなった。




こそっと暁くんの笑い話を聞かせてくれたり、他愛もない話をしたりで、もうすっかり打ち解けていた。




暁くんに告白されたことも話した。




そしたら、『まだいってナカッタんデスカ!あのイクジナシ!!』




と、いきなり怒り出して暁くんに聞こえないかと冷や冷やした。




沙夜ちゃんに、『アキラ、ユズのことソウトウ好きデス。』だなんて言われてしまい、顔から火がでそうだった。






そして暁くんとも、あの日からギクシャクしていたものの、沙夜ちゃんのお陰で前のように接することができるようになった。





優兄に聞いても、アキちゃんの事故のことは知らないはずだと言われ、少し安心してもいた。