【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐





リコールに着くとすでにみんないて、和気藹々と会話をしていた。




ちなみにみんなは、沙夜ちゃんが暁くんの妹だと知っていたみたいだ。




聞けば、あたしが逃げ帰ったあとに暁くんがネタばらししたらしい。




聞かさせたときは、ホントにびっくりしたんだって。




あたしもすごくびっくりしたし。





でも、気になることがある。





実の妹と言っておきながら、名字が違う。




暁くんは日本語で、桐野。

でも沙夜ちゃんは英語で、オルドリッジ。





それだけじゃなくて、沙夜ちゃんは綺麗なエメラルドグリーンの瞳だけど、



暁くんは、一般的な茶色。





人のプライベートに深く踏み行っては行けないと知りつつも、そんな疑問を抱いていた。






「柚、ちょっといいかな。」





そんなときふいに暁くんに話しかけられ、あたしは一瞬ドキリとする。




慌てて笑顔を繕い、首をかしげてみせると暁くんも柔らかく笑った。





「話があるんだ。ここじゃ話しにくいし、少し外にでよう。」




みんなに一言告げてから連れられてきたのは、近所の公園だった。




公園と行っても子供用の遊具がある小さな広場ではなくて、大人がランニングコースに使ったり、広大な芝生や並木道、池なんかがあったりする自然公園だ。