【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐





肩で息をしながら、沙夜ちゃんは涙を拭いた。



「あはは…っ、はぁ、はぁ…。ゴメナサイデス…。でも、アキラとコイビト、イヤです。」





「どうして。なかなか失礼だね。」




暁くんの声が若干ムッとしていた。





「アキラはだいすきデス。けどアキラみたいなオトコはゴメンです。メンドクサイです。」





うわぁ、言う。





「なんか、へこむな。実の妹にまでこんなこと言われるなんて。」






「(…だってアキラ、タラシじゃない。昔は街で見かける度に違う人連れてたわ。)」





あれ…?英語だ。わかんないや。




「(失礼だな。今は見ての通り、たった1人の女の子に釘付けだよ。)」





「(あら。それでもやっぱり、昔はタラシだったって認めるのね。)」





「(いや?彼女たちは恋人じゃなくて、あくまでお友達だったから。)」





「(…よく言うわ。)」





沙夜ちゃんは、ふぅとため息を付くとまた笑顔で日本語を話す。





「なかまハズレしてゴメナサイデス。わからないJapaneseがあったからデス。アキラ、つーやくしてクダサイ。」




「…勘弁してよ。あれを俺の口から言わせる気?」





あれってなんだろ…。





「ふふっ。じゃあよるはオスシがイイです。クルクルまわるあれ。」




「…我が妹ながら、末恐ろしいな。」





どうやら暁くんは、妹には弱いみたいだ。





と、あたしは新発見した。