そして、放課後。
いつものように暁くんからは、迎えに行くよとのメールが来た。
いつもと変わらないそのメールに少し不安になったけど、優輝ちゃんはニッコリ笑って大丈夫だよって励ましてくれた。
ビビりながら校門の、いつもの場所に行けば車の中でおしゃべりする暁くんと沙夜ちゃんの姿が。
でもすぐに暁くんはあたしに気づいてくれて、沙夜ちゃんも一緒に車から降りてきた。
「柚、おかえ…」
「ユズ!!!」
いつものようにニッコリ微笑んだ暁くんに、被せるように叫んだ沙夜ちゃん。
あたしだけでなく、暁くんまでが意表を突かれて顔を強ばらせているのにも構わず、沙夜ちゃんは一気に口を開く。
「ユズ!きのおーはゴメナサイでしたっ!!サヨ、friendlyしすぎたデスっ!!はんせーデスっだから、サヨきらいしないでクダサイですっっ!」
…沙夜ちゃんが言ったことを飲み込むまでに、軽く20秒はかかったんじゃないだろうか。
あまりにも突然で、こんなことは予想外だった。
大きなエメラルドグリーンの瞳をうるうるさせて、じっとあたしを見つめる目に嘘や汚れなんて一切ない。
沙夜ちゃんって、変わった子…。
ああ、でも…。
あたし、この子嫌いじゃない。
ずっとあたしの胸にあったモヤモヤは、スッキリと晴れて。
そうしたら今度はどうしようもない程、笑いが込み上げてきた。
「ユ、ユズ?なんでわらうデスカっ」
笑っても声は出ないけれど。
それでもあたしには、久しぶりな感覚だったんだ。

