【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐






「柚ちゃんに見せたかったのっ。今日は特に空が綺麗だから」



そう笑う、優輝ちゃんの姿と昔の記憶が重なる。




―――…どうしても柚に見せたかったんだ!今日は特に夕陽が綺麗だからっ―――




アキちゃんが大好きだった、絶景の夕陽スポットを教えてくれた時、アキちゃんはそう言って楽しそうに笑ってた。




最近、昔の懐かしい記憶をよく思い出す。




ちょっと前ならば、それだけですごく辛いことだったのに。




今は、不思議とそんなに辛くない。




むしろ、思い出すことに喜びすら感じているかもしれない。




どうしてなのかな…。








「ねぇ、柚ちゃん」




そんな声に、空に向けていた視線を優輝ちゃんに戻す。





「…暁くんって人と何かあった?」




え…?




「バレバレだよ。」




あたしがびっくりしたのを見て、優輝ちゃんはポニーテールを揺らしてクスクスと笑った。





「さて、どうしたんだい?この泉堂(センドウ) 優輝に話してみなさい?」




ふっふっふー、とふざけた調子で言う優輝ちゃんが可笑しくて。



顔を見合わせて、一緒に笑った。




それから、携帯のメール機能を使って昨日あったことを一生懸命話した。




優輝ちゃんは終始真剣に話を聞いてくれて、少しずつ気持ちが楽になった。






「…なるほどねぇ。イギリスから恋人がやって来た、と。」