【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐





いつも以上に重い足取りで教室に入る。




その途端ガヤガヤと騒がしい教室に、綺麗なソプラノボイスが突き抜けた。




「あっ、おはよーっ柚ちゃん!!」




あ…




見れば、つい昨日仲良くなったばかりの優輝ちゃんたちがあたしに手を振っていた。




こんな風に、挨拶されるのも久しぶりだった。




あたしも、挨拶の代わりに手を振り返す。




「ねぇねぇ柚ちゃん、昨日送ったメール見たぁ??」





…メール?




なんのことだかわからず、サッと携帯を開くと新着メールは4件。




それぞれ、みんなからのメールだった。




あたしはすぐにしまった、と後悔した。




昨日は一度も携帯を見ることなく寝て、携帯をカバンに入れたまま学校に来たのだ。




ちゃんと携帯を確認すべきだった。




「もしかして、今気づいた?」




慌てて携帯のメール機能で、“ごめんなさい、昨日たまたま見てなくて…”



と謝る。





ああ、せっかくみんなが送ってくれたのに。




あたし、昨日から何やってるんだろう。