「で、さっき何て言ったんだよ?」
「何が?」
「ほら、ゆーる…なんとかって言っただろ。」
優輔は、気難しい顔をしてその英文を思いだそうとしていた。
「ああ…、後でゆっくり教えてあげるよ。」
それに対しニッコリと笑いかけただけなのに、優輔の表情がヒクリとひきつった。
なんだ、今さらになって後悔してるのか?
「いやアキ、あの…」
優輔がどもりながら口を開くと、めんどくさそうに李織が横から口を挟んだ。
「ねぇ。」
その瞬間、はっと優輔の顔色が良くなる。
助かった、とでも思っているのだろうか。
しかしあの李織が、優輔を庇うなんて珍しいこともあるものだな。
「…飽きたから帰っていい?」
…やっぱり李織は李織だった。
思わず、ふっと笑みが漏れた。
「ちょ…っ!?李織!助けてくれんじゃねーのかよ!?」
焦った様子で優輔が李織にすがり付く。
「…なんで俺が。」
それを一言で、李織は見事に一蹴した。
「せっかく寝ようと思ってたのに、優輔がムリヤリ引っ張って来たんでしょ。それなのに、なんで俺が優輔を助けなきゃいけないの。」

