すると、少しだけ迷ってコクリと頷く。






その悲しいことが、柚姫ちゃんの家で見たあの写真に関係していることはなんとなく想像が付く。





彼女を苦しめるその理由を知りたかった。





…けど、聞けなかった。






震える小さな手を、白くなるまで握りしめた彼女の姿を見たら…。





優輔に言われた通りだ。






イギリスに行く前、優輔に柚姫ちゃんのことについて尋ねたことがあった。





でも何も教えてくれなかった。





それどころか、彼女の前でその話をするなと言われてしまった。




秘密を知られれば、柚姫ちゃんは悲しみ、俺を避けるようになるかもしれないからと。







「…ごめんね、柚姫ちゃん。」





震える小さな手をそっと包み込んで、そっと微笑みかける。





この、小さな小さな宝物みたいな女の子を壊してしまわないように、そっと。







「そんなに辛いことだったんだね。もう、話さなくていい。思い出さなくていいから。」





その言葉にホッとしたように、柚姫ちゃんの体から力が抜けていった。