リビングに置いてある白いグランドピアノを、誰かが弾いている…?
この部屋には、俺と柚姫ちゃんしかいない。
まさか、彼女が…?
重たい体のことも忘れ、音に誘われるようにリビングへと足を運ぶ。
聞こえてくる旋律は、聞いたことは無かったけど凄くいい曲だと思った。
しばらくすると曲は止まり、代わりに聞き慣れたメロディが聞こえてきた。
このメロディは…。
間違いなく俺が、作っている曲だった。
ある人を想って作った曲。
何故かその人を思い浮かべただけで、不思議なほど滑らかに頭の中でメロディが出来上がった。
その曲を今、柚姫ちゃんが弾いている?
俺は、半開きだったリビングのドアをそっと押した。
…その瞬間、はっと息をのんだ。