この先の展開はきっと…。
暁くんは優しいから、きっと理由を尋ねてくるだろう。
あのことを知ってしまったら、暁くんはどんな反応をするかな…?
軽蔑されてもおかしくない。
そしたらもう、こんな風に一緒になんていられない…!!
―――…人殺し!!
いや!!
ふいに脳裏に甦ったあの言葉を追い払おうと、ぎゅっと目をつぶった時。
ふわりと、温かいものがあたしの手を包み込んだ。
…え?
驚いて目を開くとそこには、悲しそうな顔であたしの手を優しく握る、
暁くんがいた。
「こんなになるまで手に力が入って…。痛いでしょ?」
その言葉にハッと我に返れば、爪が食い込むほど手を握りしめていたことに初めて気が付いた。
その痛さに力を抜けば、そっと暁くんが微笑んだ。
「ごめんね、柚姫ちゃん。そんなに辛いことだったんだね。もう、言わなくていい。思い出さなくていいから。」
あ……。
暁くんの優しい笑顔と言葉に、張り詰めていた心が解けてゆくのがわかった。

