「…もうね、彼女には会えないんだ。死んでしまったから」
え…
「俺が子供の頃、父親と母親の二人は……亡くなってしまってね。もう、11年になる。」
そんな昔に、ご両親が…??
かける言葉が見つからず、目を伏せていると、暁くんはふっと笑ってあたしの頭に手を乗せた。
「ごめんね、こんな話してしまって。気にしないで欲しい。」
あ……
せっかく暁くんが話してくれたのに、あたしは…。
ぎゅっと唇を噛み締めて、喉に手を触れた。
「…ごめん、なんか俺…眠くなってきたかも…。」
え…。
突然そう言った暁くんは、眠そうに欠伸をしていて。
あたしはそっと、立ち上がった。
“寝てて。あたし、片付けしてくる。”
「…ん。ごめんね?それと、ありがとう、柚姫ちゃん。」
そうして暁くんは、すっと瞳を閉じた。

