「俺たちも詳しい事情なんかは知らねぇんだけどな、あいつ腕いいくせにギターパートやりたがらねぇんだよ。」
えっ、どうして…
あたしが驚いて目を見開くと、愁生さん達もうんうんと頷いた。
「俺、前聞いたことあるんだけど、なんか目立つのが嫌らしいよ。」
いや、暁くんは町を歩くだけで充分目立ってると思う…。
優兄の言葉に、あたしは苦笑した。
「今まで、どんなに頼んでもギターやってくれなかったのに突然先週、ボーカルもやるからギターをやらせてくれって言い始めて。」
なぁ、という愁生さんにあたしを除く全員が同意した。
「それで今日ライブをしたんだよ。」
と、優兄。
「…うん。楽しかったからよかったけど。」
それに付け足すように言うと、李織さんは小さく笑った。
「それで、あいつの考えを変えたのが柚なんじゃねーか?って話だったんだよ。」
あたしが…?

