【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐






「柚姫ちゃん、来てくれてありがとう。俺も嬉しいよ。」




優兄に続いて、愁生さんもあたしに微笑みを向けてくれた。






「…俺も、嬉しい。」






あまり表情を見せなかった李織さんまでもが、小さく微笑みを向けてくれて。






あたしは、ほんの少しだけ目頭が熱くなった。






「ライブも見てくれたんだよ。後ろの方だったけど、ちゃんと見ててくれてた。」





暁くんがそう説明したのを見て、愁生さんは何故かにやりと口角をあげた。





「なるほどねぇ。それで急に」




「何が?」





不思議そうな顔をして聞き返す暁くんに対して、愁生さんは別に、とだけ答えた。





暁くんは納得してないみたいだったけど、すぐにあたしの方に向き直って微笑む。







「もう遅いし、送るよ。車、表に出してくるからここで待ってて。」






うん、と頷くと、暁くんはお店の裏口へと向かった。