【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐






「おっ、アキ。おっせーぞ」





暁くんに気付いた優兄が手を振り、暁くんもそれに答える。






「ごめんごめん。でもほら、スペシャルゲストを連れてきた。」





ずっと背中に隠していたあたしの前から、すっと身を避ける暁くん。





その途端見えたのは、びっくりした3人の顔だった。






あ…う、どうしよう…。






おずおずと暁くんを見上げるけれど、暁くんは相変わらず楽しそうな表情のままだ。






まさか、この状況楽しんでる…?





とりあえず挨拶をしなくては、という結論に達し、ぺこりと頭を下げた。





そうして、一応にこりと笑って見せる。





あー…、引きつった…かも。






と自分でも思うほどに、出来てない挨拶だった。






しかし。





「…柚じゃん!びっくしたぁ」





最初に声を発したのは、優兄だった。






「びっくりしすぎて一瞬フリーズしてたよ」






優兄はそう言うと、にっと笑ってあたしの頭を遠慮なくなで回した。





「よく来てくれたな、柚。嬉しいよ。」