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ミーンミーン…ミーン…

蝉が煩く鳴き、ジリジリと太陽が照り付け、ジワリと汗が吹き出る

全くうっとうしい季節だ

「はあ~」

私は熱気が立ち込めるなか、重いため息を落とした

「今年は一段と暑いな」

この蒸し暑い空気のなか、全く暑さを感じさせない涼しい声

「龍は涼しい」

暑さなんて感じてないような、爽やかな笑顔

さすがクール

半袖の白いシャツがより涼しく感じる

「翼は暑いね」

爽やかに毒を吐く

これまたクール

「私じゃなくて夏が暑いの!」

私は熱くなって反論した

「ため息つくほど?」

龍は冷たく返す

カレカノってこんな感じなの?

もっと甘いんじゃないの?

それに…


「暑いからだけじゃないもん!」


琥珀君の事とか雪さんの事とか亮君の事とか…大輝の事…とか…

…とか…

…と…か…

悔しい…

他の事より何より一番悔しい…

私が…

…先輩と…っ


「雪の事なら俺がなんとかする

琥珀には指一本触れさせねぇ

亮は翼が答え出せ

大輝には渡さねぇ


心配すんな」

私が悩んでる事…

龍は何時だって解ってんだ…

でも…

今私が一番悩んでんのは


「悔しいなら追いつけ

俺に追いついてみろ

大会はこれからだってあんだ

次がある

俺は何時だって待ってる