暗くてじめじめした部屋。


まるで牢獄のよう。


ただ窓があるだけ幸いだろう。


そんな部屋に人が一人。


その暗い部屋を照らすような綺麗な金髪を持つ少女がぼんやりと窓の外を眺めていた。


「……。」


その目は虚ろだった。


何もかも諦めてしまったかのような…そんな目だった。


不意に部屋のドアがノックされた。


少女が返事をする間もなくドアは開かれ、一人の女性が入ってきた。


「レティシア様、王がお呼びです。」


その女性は淡々とそう言い、その少女…レティシアが部屋を出るのを待つ。


レティシアは、分かりましたと小さな声で言いその女性の元へと向かった。






どうして…?


レティシアははっきりしない頭で、何度もその言葉を繰り返す。


どうして…―――


私の国を滅ぼした国の男の花嫁にならなければいけないのだろう…?