「今の私は…やっぱりこの国を好きになるなんて出来ないの。だって私の国を滅ぼした国なのよ?どんなに美しい国でも…人殺しの国なのよ、ここは…。」


リーナは初めてレティシアの本音を聞いた。


驚きと同時に悲しみも込み上げてくる。


そして自分が愚かだったと気付いた。


レティシアは自分の国に滅ぼされた国の王女だったのだ。


その王女だった彼女にこの国を好きになれなんて…なんてことを言ってしまったんだろうと後悔した。


「レティシア様…謝るのは私の方です…。この国を好きになれなんて…酷なことを言いました…。」

「リーナ…。」

「私はレティシア様の元にいるべき存在ではないのかもしれません。だから…他の侍女に代わってもらった方がいいのかもしれませんね。」


無理して微笑むリーナを見て、レティシアは胸がズキリと痛んだ。


「…リーナ、私は他の侍女なんて望まないわ。貴女が嫌なら仕方ないけど…私はリーナに側にいてほしいわ。」


まだ出逢ってから日は短いが、リーナにならこれから何でも話せそうな気がした。


そして信頼できる、そう感じた。


「レティシア様がそうおっしゃるのなら、私は側にいます!」

「ありがとう…。」


さっきとは違ったリーナの明るい笑顔にレティシアも釣られて笑った。


「思ったことは私にどんどんおっしゃってください。私はレティシア様の味方ですから!」


心強い言葉。


リーナが一緒にいてくれれば、きっとこの辛い状況を少しでも乗り越えられる…そうレティシアは思った。