駆ける…キミト共に

意外だった。
少し会っていないだけで
ここまで涼子の力が強いだなんて思ってもいなかった。

「……あなた、聞いて欲しいの。
あたしが帰って来たのは、あなたに聞いて欲しい事があるから」
そう言って涼子は、おもむろに
黒のハンドバッグの中から
紙とペンを取り出した。

(離婚届けではあるまいか…)
と思っていると
「離婚届けじゃあ、無いわよ?」

と意地悪く答えたが、目は真剣だった。

やや躊躇ってから、その紙を出し
卓に手渡した。