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「行って来ます」

清々しい朝。
城山は、兼ねてから人と話す…つまり、コミュニケーションを取る事の出来る
この、タクシードライバーの仕事に憧れており

今日は、漸くその初出勤である。

妻の涼子は前日から、衣類にしっかりアイロンを掛けてくれたのだろう。

ブレザーによく似たそれは、埃一つ無く
皺もどこにも見つけられ無かった。

勤めるタクシー会社は、地域の小さな会社で
それこそコマーシャルで出ている会社には、太刀打ち出来無いが

地域の住民は、よくこの会社のタクシーを利用していた。