商店街は学校と我が家の中心にある。
学校から5分もかからないので学校帰りによる
生徒は少なくない。

「いつものところでいいか?」

愛奈は機嫌が良さそうだ。

「うん!いいよ!ていうかそれ以外にないでしょ?」

そうだったようなそうじゃなかったような。
こいつがうそを言うとは思えないので本当にそうなのだろう。

「はい、着いたぞ。」

「わーい。何個まで上にのっけていいの?せーんぱい?」

「な、何個でものっけていいぞ」

だめだ。「先輩」は強すぎる。こうも俺の心にヒットしてくるとは。
恐るべし。何個でもおごってやりたくなるな。そんな中愛奈は俺の
ことをそっちのけで、目を輝かせながらアイスを選んでいる。
・・・何個乗せる気だこいつは。

「ちょっと~後輩さん?」

「なんですか先輩さん?」

「それはちょっと乗せすぎでしょうよ。そんな乗せたら俺の財布に
風が吹くわ!もう乗せるな」

今月CD買ったからピンチなんだよ!

「もう、しょうがないな、お兄ちゃんは」

「その名で呼ぶな。先輩と言え!」

「もう、しょうがないな、先輩は」

「全部言い直せとは言ってない!」

「もう、しょうがないな」

「そっちじゃないから!・・・もう疲れた」

頭が痛くなってくるな。こいつとしゃべってると。
昔からだが。

「フフ、先輩おもしろい♪。もう乗せないよぉ~。先輩の
サイフの事情は既に入手済みだからね。新しいCDが部屋に合ったし」