健と分かれて愛奈は教室に帰り
今は授業中だ。だがその内容は全然
頭に入ってないように見える。屋上で
健が言った言葉を思い返していた。

(近くて分からないかぁ。だからお兄ちゃんは
気づいてくれないのかな?私の気持ちに)

いっそのこと距離を開いて見ようかと思ったが
愛奈はその考えを振りほどくように首を振る。

(そんなことできないよ。その間に彼女とか
出来たらどうしよう!)

そうゆう思いもあったが、本当の所はただ単に
愛奈が寂しがりだからだろう。離れるなんてもってのほか。

「もう、私はどうすればいいの!!!」

バシッ!

「痛い!!」

先生が教科書を丸めた棒で愛奈の頭を叩く。

「どうするもなにも普通に勉強しろ。高橋」

愛奈は顔を赤くしながらうつむく。
周りからは失笑したり声をはばかることなく笑いがこぼれる。
愛奈はとにかく早く授業が終ってほしいと思ったのであった。