お互いが家に帰った後、愛奈は急いで
エプロンに着替えていた。

「お母さん!早く!お兄ちゃんが2時間後に来ちゃう!」

どうも愛奈は料理を作るみたいだ。それは単なる感謝の気持ち
なのだろうか。多分それだけではないだろう。

「健くんは時間にルーズだから大丈夫よ。それより
私の地獄の日々もこれで終るのね」

愛奈の母はとてもほっとしているように見える。母もまた
愛奈の犠牲になったひとりだ。

「そんなこと言わないで~!娘の恋愛を応援してよぉ~
お母さんのおかげで一応肉じゃが作れるようになったし!
そんなことより作るから手順間違えてたら教えてね、お母さん」

「はいはい」

愛奈はふくれっつらをしながらどこか楽しそうに見える。
そんな愛奈をみて母は成長していく娘を見てちょっとさびしく
なるのであった。