「私、生後4ヶ月で児童保健室に捨てられてたんです」



 児童保健施設…?



「お前、もしかして本当の親見たことないんじゃ…」

「そうなんです」




 嘘だろ…?



 早乙女は、ずっと1人で…




「今の親が生み親じゃないって確信したのは中学3年生の時でした。
 養子戸籍更新って手紙が届いて…。」


「そんな露骨に?」


「はい。
 そのときに全部知らされました。」




 
 早乙女の家は、確かに複雑だった。




「何か、いろいろあんだな」


「ですね。
 私、篠塚くんにそんなことがあったなんて思いもしませんでした」




 
 俺は、あることに気がついた。




「早乙女、口数増えたな」


「…え?」