「まぁ、大丈夫ってこと」
ぐいっと手を引かれた。
「ぅあっ!」
…そして、咄嗟に叫んでしまった。
「…早乙女?」
「あっ、いえっ、その…」
手を引かれたのは篠塚くんなのに。
あの人じゃないのに。
体がはっきり覚えてる所為。
あたしの体が拒否ってる。
「…そうか。
手をひっぱるのは駄目だったんだな」
「そ、れは…」
「悪い。
無神経だった」
怒らなかった。
事情があることを分かってくれた。
変な態度をとったあたしをうざがらなかった。
そして、逆に謝った。
この時、
あたしは篠塚くんの優しさに惹かれていた。
