あたしは黙って着いていく。
ただ、それだけ。
何も聞かないし、何処に行ってるかも聞かない。
今日はちゃんと眼鏡だってしてる。
だから町はちゃんと歩ける。
大丈夫。
篠塚くんの隣は、なんだか安心感があって。
いつの間にか、心が許してたんだと思う。
そして、篠塚くんとの繋がりは、もう戻れないところまで来てたんだと思う。
「ここ」
「ここは…」
「俺の家」
着いたのは、綺麗なマンション。
「あの…まさかここに入る訳じゃ…」
「入らないと話できないだろ」
「ご、ご家族はいらっしゃらないのですか…?」
「仕事。
ってかもうここには帰ってこない」
…篠塚くんの目が、またあたしの昔の目とリンクした。
