【凛乃】

「じゃっ、入っていいよ」


 先生に呼ばれ、あたしは2-Aの教室に入った。


「はい、自己紹介♪」

「…早乙女 蛍…です」



 うん。よし。


 誰も知り合いはいない。


 心底あたしはホッとする。

 あたしのことを知ってる人がいたら大変だから、ね…


「ん~、早乙女サン。
 席、そこにいるチンピラの隣ね~」



 チンピラ…



 そういえばさっきぶつかった人もなんか怖そうなチンピラ…?らしき人だったなぁ。



 なんてのんきに考えていた。



 あたしは先生の指の先を見る。



 そして、言葉を失う。


 
 先生の指の先には───…





 
 さっきぶつかったあの人がいた。